2020.9.17
, EurekAlert より:
乳児期の湿疹、アトピー、食物アレルギー、喘息、花粉症というアレルギー性疾患の連鎖現象は、秋生まれの子どもで特によく起こりやすいことが明らかに。その予防のカギは皮膚のケアにありそうだという。米ナショナル・ジューイッシュ・ヘルスの研究。
食物アレルギーは米国で増加傾向にあり、子どもでは500万人以上が罹患しているというデータがある。これはクラスごとに約2人の子どもが、1つ以上の食物アレルギーを持つことを意味している。
ナショナル・ジューイッシュ・ヘルスの研究者たちは、この増加の原因の解明に取り組んでおり、多くのアレルギー症状は、皮膚の乾燥とひび割れから始まり、「アレルギー・マーチ」と呼ばれるアレルギー性疾患の連鎖現象を引き起こす可能性が高いと判断した。アレルギー・マーチとは、乳児期の湿疹、アトピーに始まり、成長につれて食物アレルギー、喘息、花粉症と、次から次へとアレルギー疾患が発症することをいう。彼らの最新の研究では、赤ちゃんの出生時期がアレルギー・マーチの危険因子であるかもしれないことを明らかにしている。
「私たちのクリニックで治療を受けているすべてのお子さんを対象に調べたところ、秋に生まれた子は、アアレルギー・マーチに関連する状態のすべてを経験することが非常に多かったのです」と筆頭著者のホイ医師は述べている。「私たちは今、その理由についてより多くを学んでおり、それが皮膚表面の細菌から生じることを強く信じています」。
湿疹のある子供の皮膚には、黄色ブドウ球菌と呼ばれる有害な細菌が高レベルで存在することが多く、アレルゲンや病原体の侵入を阻止する皮膚の能力を弱めてしまう。
「食物の微粒子が消化されるのではなく、皮膚に浸透してしまうと、身体はそれらを異物と捉え、それらに対する抗体を作ることで子どもはアレルギーになるのです」とホイ博士。
研究者たちは現在、乳児の皮膚バリアを弱める可能性のある様々な要因を調べるため、臨床試験を実施している。妊娠中の女性に登録してもらい、産まれた赤ちゃんを幼児期まで追跡することで、環境要因から遺伝、服用した薬、家庭で使用される製品に至るまですべてを検討している。彼らは、これが秋に生まれの赤ん坊がより大きなリスクを持つ原因の解明の一助となるほか、アレルギー・マーチを止める解決策を開発するのにも役立てば、としている。
「赤ちゃんが子宮から出た直後であっても、ごく早期に介入できれば、アレルギー・マーチを止めようとする方法となる可能性があると考えています」とホイ博士は述べている。
アレルギー・マーチを防ぐためには、ウェットラップと保湿剤を使用して湿疹のある赤ちゃんの皮膚のバリアを密封し、リスクのある子どもたちに早い段階でアレルギー誘発性食品を導入することがの他の潜在的な解決策、とのことだ。
出典は『アレルギー・臨床免疫学雑誌:実践』。 (論文要旨)
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