2020.9.1
, EurekAlert より:
妊婦が多量のフルクトースを摂取すると、母体の代謝機能と母乳の組成が変化するばかりでなく、子どもの代謝までも変わってしまうようだ、というオタゴ大学からの研究報告。
クリント・グレイ氏らによるこの研究では、メスのモルモットの食餌中のフルクトース量が増加すると、子どもの血中の遊離脂肪酸が有意に上昇する一貫した変化がみられた。この変化は、子モルモット自身がフルクトースを摂取していないにも関わらず認められたという。
筆頭著者のエリン・スミス氏は、「先行研究では、妊娠中の栄養的な質が低い食事が、子どもの成長後の肥満、糖尿病、心血管疾患の発症などを含む長期的な影響の要因となっている可能性を示している。」と話す。「しかし、妊娠前および妊娠中のフルクトースの摂取量増加がその後の授乳、胎児の発育、さらには子どもの代謝機能におよぼす影響について調べたデータはない。」
研究ではモルモットを2群に分け、妊娠前から妊娠中にかけてフルクトース食と対照食のいずれかを摂取させた。フルクトース食群には、加糖飲料の摂取を模してフルクトースを添加した水を交配の60日前から出産まで摂取させた。フルクトースは、西欧諸国での平均的なフルクトース/砂糖摂取量である1日のエネルギー摂取量の14%に近くなるよう、食事に対して16.5%に調整した。
「我々はフルクトースが妊娠女性の代謝機能と母乳の遊離脂肪酸量に有意な影響を与えることを明らかにした。また、フルクトースを摂取した母親から生まれた子どもは遊離脂肪酸の増加という非常に特徴的な変化を示し、さらに脂質代謝の変化は幼少期にまでおよんだ。」
スミス氏は、血中の遊離脂肪酸量が増加すると肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、心血管疾患のリスクが高くなること、フルクトースの摂取により脂肪酸合成が高まることはよく知られている、と言う。
スミス氏は、妊娠期のフルクトースや精製糖を多く含む食事のような最適ではない食事が、この40年から50年間にみられる人々の代謝障害の増加に寄与していることの根拠が示されたと話す。
「我々の研究は、加糖飲料のような添加された精製糖の量を制限すること、妊娠前、妊娠中、授乳中の女性がより栄養バランスのとれた食事を目標とすることの重要性を強調している。」
出典は『内分泌学の最前線』。 (論文要旨)
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