2020.8.25
, EurekAlert より:
COVID-19に感染した子どもは、無症状または軽度であってもパンデミックの潜在的な感染源である可能性が示された。米国マサチューセッツ総合病院の研究。
今回、マサチューセッツ総合病院を受診した、COVID-19感染が疑われたり、小児多臓器炎症症候群(MIS-C)で入院中の小児・青年(0歳-22歳、平均10.2歳)192人を対象として、鼻やのど、血液からサンプルを得て、感染の有無のほかにウイルス受容体と抗体反応の発現を調べた。
結果、49人がSARS-CoV-2検査で陽性を示し、さらに18人のが遅発性のCOVID-19関連疾患であることがわかった。また感染した子どもは、ICUでCOVID-19治療中の成人よりも、気道内のウイルスのレベルが著しく高いことが示された。
現在の仮説では、子どもはSARS-CoV2に対する免疫受容体(ACE2)の数が少ないため、感染や重症化のリスクは低くなるとされているが、今回の結果はそれに反するものとなった。低年齢の子どもは年長の子どもや成人よりもウイルス受容体の数が少ないにも関わらず、ウイルス量に違いはないことが発見された。伝染のリスクは、ウイルス量が多いほど大きくなることから、著者のファサーノ医師は、COVID-19感染の発症に対する感受性に関係なく、子供が高いウイルス量を運ぶ可能性を示唆すると述べている。
また、COVID-19感染後数週間で子供に発症することのある多臓器炎症症候群(MIS-C)の免疫応答についても調べたところ、SARS-CoV-2の受容体結合ドメイン(RBD)に対するIgMおよびIgGは、重度のMIS-Cの症例で増加し、体液性免疫応答の異常が確認されたことから、免疫不全がMIS-Cに関与していることが明らかになった。
ファサーノ医師らは「子どもたちはこのウイルス拡散源となる可能性があり、学校を再開するための計画段階で考慮に入れられるべきです」とし、子どもや、教師、職員、ひいてはその家族を守るためには、社会的距離、できる限りマスクを着用する、正しいな手洗い法、オンライン学習と対面学習の組み合わせなどの感染対策の重要性を訴えている。さらに、SARS-CoV-2感染についてすべての学生の定期的かつ継続的なスクリーニングを行い、結果をタイムリーに報告することが安全な学校への再開方針に不可欠としている。
出典は『小児科学雑誌』。 (論文要旨)
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