2020.8.11
, EurekAlert より:
加齢の謎の背後に隠されたカギとなるメカニズムを明らかにした、という米国カリフォルニア大学サンディエゴ校からの研究報告。加齢に伴って細胞が旅する2つの異なる道を明らかにし、寿命を延ばすためにこれらのプロセスを遺伝的にプログラムする新しい方法を設計したという。
研究チームは、同じ遺伝子をもつ細胞が同じ環境の中で、驚くほど異なる道、すなわち異なる分子的、細胞的軌跡をたどることを発見したという。
酵母Saccharomyces cerevisiaeと、マイクロ流体力学、コンピュータモデリングなどの技術を用いて、研究チームは、細胞老化の約半分は核小体の安定性が次第に低下していくことによって起こり、別の半分は、ミトコンドリアの機能障害によって起こることを発見した。
細胞は、誕生から早い時期に、核小体経路かミトコンドリア経路のどちらかを選択し、残りの寿命を通じて死ぬまでそのルートにそって加齢していくことになる。制御の心臓部に、研究チームはこれらの加齢プロセスを導く主回路を発見した。
「細胞がこの選択をどうやってするのか理解するために、我々は各々の加齢ルートに存在する分子プロセスを同定しそれらのつながりを明らかにすることで、細胞の加齢を制御している分子回路を明らかにした」と主任研究者のナン・ハオ准教授は語っている。
さらに、コンピュータシミュレーションによって、DNAを改変する事で、主分子回路を再プログラムし、劇的に長い寿命を特徴とする加齢回路を遺伝的に作成する可能性が示唆されたという。
出典は『サイエンス』。 (論文要旨)
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