2020.8.3
, EurekAlert より:
身体活動が少ない仕事(デスクワークなど)の人は、身体活動が多い仕事の人に比べて、認知力低下のリスクが低いようだ、という英国ケンブリッジ大学からの研究報告。
身体活動・運動の欠如は、記憶力・集中力などの認知機能の障害を含む主要な健康リスクのひとつであるが、身体活動が実際に認知機能の低下を防ぐかどうかについての根拠はしばしば混乱しており決定的ではなかったという。
研究チームは、調査開始時に40-79歳で、社会経済的背景と学歴が幅広い男性と女性8,500人の身体活動のパターンを調査した。対象者はすべてEPIC-Norfolkコホートの一部だった。特に、チームは仕事と余暇の身体活動を分離して、これらが晩年の認知と異なる関連を持っているかどうかを確認することができたという。
「決まり文句の『心臓に良い、脳に良い』は完全に理に適っているとしても、個人が何をするべきなのかについての根拠は混乱している」とシャビナ・ハイアットは述べている。「我々は大規模コホートによって、様々なセッティングにおける異なる種類の身体感動の関連性を探求した。」
研究チームは以下のようなことを発見したという。
●資格のない個人は、身体活動の多い仕事を持つ可能性が高いが、仕事以外でアクティブである可能性は低い。 ●身体的に非アクティブな仕事(通常はデスクワーク)では、教育レベルに関係なく、認知力低下のリスクが低くなる。調査期間を通じて、この種類の仕事を継続した人は、認知テストの上位10%に含まれる可能性が最も高かった。 ●手仕事をする人は、非アクティブな人に比べて、認知機能低下のリスクが約3倍高かった。
「我々の分析が示しているのは、身体活動と認知機能の関係は単純ではないということだ」とハイアットは言う。「定期的な身体活動には多くの慢性疾患からの保護作用が考えられるが、認知機能の低下には他の因子が影響している。」
「非アクティブな仕事の人は、教育レベルに関係なく認知テストで良いパフォーマンスを示す傾向があった。デスク作業は手仕事に比べて精神的に難しいものである傾向があるので、認知機能の低下に対して保護的に働くのかもしれないことが示唆される。」
出典は『国際疫学雑誌』。 (論文要旨)
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