世界的にみて、集中治療室（ICU）に入院するCOVID-19患者の死亡率が、5月末までの合計では4割程度となり、3月末までの合計に比べると3分の1ほど減少したことが、系統的レビューとメタ分析により明らかになった。英国ロイヤル・ユナイテッド病院の研究。

このレビューはまた、ヨーロッパ、アジア、北米の3大陸間で、ICU死亡率に有意差がないことを示している。

研究者らは、2020年5月31日までにCOVID-19で入院した成人患者のICU死亡率を報告する研究のために、MEDLINE、EMBASE、PubMedおよびCochraneデータベースを検索した。主要なアウトカム指標は、退院または死亡によりICU入院が終了した人のうち、死亡した人の割合とした。したがって、ICUで治療中の患者数は含まれていない。

アジア、ヨーロッパ、北米における10,150人の患者を含む合計24件の観察研究の分析から、COVID-19感染によるICU入院が終了した患者の死亡率は、5月末時点での研究例全てを合計して41.6％となった。これは、3月末までの研究の合計で見られたICU死亡率（59.5％）から約3分の1の減少を示している。

ICUの死亡率は、入院基準、治療法、およびそれらの適用の閾値の違いにかかわらず、大陸間で有意に異ならなかった。このことは、特定の治療法がICUの死亡率を低下させることはないことを示唆している。とはいえ、過去数週間でデキサメタゾンが大きな利益をもたらすことが見出され、これにより生存期間のさらなる改善が期待されている。

著者らは「COVID-19によるICU内死亡率は約40％であり、他のウイルス性肺炎を伴うICUの入院で見られたもののほぼ2倍、22％です」

「ICU死亡率は時間とともに低下したことが報告されました。楽観的にみれば、パンデミックの進展に伴い、COVID-19にうまく対処できているのかもしれません」などとしている。