2020.7.14
, EurekAlert より: 
米国において、所得格差が最も大きい州では、格差が小さい州に比べてCOVID-19に関連する死亡者数が多いことが明らかとなった。カルフォルニア大学ロサンゼルス校からの報告。
所得格差の最も大きいニューヨーク州での研究対象期間中の死亡率は10万人あたり51.7人で、格差の最も小さいユタ州における10万人あたり0.41人のおよそ125倍にのぼった。ニューヨーク州についで死亡率が高かったルイジアナ州では10万人あたり19人で、コネチカット州が10万人あたり16.9人と続いた。一方、ユタ州についで死亡率が低かったサウスダコタ州では10万人あたり0.7人で、ノースダコタ州が10万人あたり1人でこれに続いた。
研究背景 COVID-19のパンデミックが続く中、ニューヨークやシカゴのデータでは、アフリカ系アメリカ人やヒスパニックでは高い感染率および死亡率が観測されている。これらのグループは多くが低所得で医療へのアクセスが十分でなく、社会的距離の維持が難しいエッセンシャルワーカーとして働き、感染リスクの高い大家族で生活している。
研究方法 研究者らは2020年1月22日から4月13日まで対象とし、ジョンズ・ホプキンス大学システム化学工学センターが運用するCOVID-19ダッシュボードに記録されている症例数と死亡数のデータを解析に用いた。各州の所得格差のデータは、2018年の全米コミュニティ調査における所得分布を示す統計的指標のジニ係数を使用した。
研究者らは、全国規模の調査データの弱みとして、合併症の影響などの格差とCOVID-19感染との間にある関係性を見逃している可能性を指摘している。
この調査は、いくつかの州が他の州と比較してCOVID-19による死者が多い理由が、格差などの社会的要因によって説明できる可能性を示唆している。この調査結果は、社会経済的弱者におけるパンデミックの影響を緩和するための政策策定のために役立てられる、と考えられている。
出典は『一般内科学雑誌』。 (論文要旨)
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