2020.7.8
, EurekAlert より:
画像や音声に対する注意状態とそれらから喚起される感情の関係は、視覚と聴覚において異なる可能性がある、という豊橋技術科学大学情報・知能工学系とエレクトロニクス先端融合研究所の報告。
この結果は、ヒトの感情と関わりのある瞳孔反応の計測により得られたもので、視覚ではあらゆる注意状態において感情が喚起されるのに対して、聴覚では音声に注意を向けている状態でのみ感情が喚起され、視聴覚刺激に対する感情と注意状態の関係が異なることを示唆するものである。
我々は、日常生活において、視覚や聴覚から受け取る情報から感情が喚起されることがしばしばある。そのため、これまで画像や音声といった感情を喚起する刺激を用いてヒトの感情処理について調査した研究が数多く報告されてきた。けれども、これらの感情処理が視覚と聴覚で異なるか否かについては明らかでなかったという。
そこで、研究チームは、実験参加者に感情を喚起する画像や音声を呈示した際にあらゆる注意状態を促す4種類のタスクを課し、その際の感情反応が視覚と聴覚でどのように異なるのかについて調査を行った。また、感情反応の生理指標として、眼球運動計測によって得られる瞳孔反応を用いて比較した。
その結果、視覚(画像)ではあらゆるタスク実行中においても感情が喚起されたのに対して、聴覚(音声)では音声に注意を向けているタスク実行中でのみ感情が喚起されたという。これは、視聴覚刺激に対する注意状態と情動反応の関係が異なることを示唆するものである。
研究チームのリーダーである南哲人教授は、「スマートフォンなどを介して様々な映像メディアに触れる機会が増え、その視覚・聴覚情報によって感情を喚起される機会も増えている。喚起された感情が人の行動に及ぼす影響なども含め、今後も感情を喚起する感覚知覚について調べていきたいと考えている」とコメントしている。
出典は『プロスワン』。 (論文要旨)
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