2020.6.25
, EurekAlert より:
デジタルリテラシーのヒントを提供することで、人々が疑わしきオンライン情報を判断する助けになるようだ、という米国プリンストン大学からの研究報告。
世界中に溢れるオンライン情報の山は、人々が如何に正確な情報を有毒なもしくはきわめて危険な誤情報から見つけ出す能力への挑戦である。
研究チームは、Facebookによるユーザー教育としての、誤情報の見分け方のヒントの提供が、米国とインドで、嘘の見出しを見分ける能力の向上につながっているかどうかを検討した。
この研究は『国立科学アカデミー論文集』に発表されたもので、人々がヒントによって間違った情報を見分ける能力は直後は高まるがまた急速に低下することを示しており、定期的なデジタルリテラシー教育の必要性を示唆するものだという。
「多くの人々がオンラインで出会う情報の質をきちんと判断することに格闘している」と主任研究者のアンディ・ゲス助教授は語っている。
「これは、質の高いニュースと低いニュースの内容を区別するために必要なスキルと知識をもっていないためである。我々はデジタルリテラシーを高めようという努力が、オンラインコンテンツの信頼性を評価する人々の能力を改善することができることを発見した。」
研究チームは、2017年4月に14カ国でユーザーのニュースフィード上部に表示されたFacebook社による「偽ニュースを見つけるためのヒント」の影響を調べた。このヒント集は、米国の多くの新聞でも全面広告として印刷されたという。インド版も存在した。
このヒント集は、おそらく最も広く配布されたデジタルメディアリテラシーの介入だったという。過度に複雑ではないことで、素早い決断が可能だった。たとえば、あるヒントは、読者に見出しに懐疑的であるように注意を呼び掛けた。見出しが信じられないようなことを主張していたら、たぶんその通りに疑わしいのである。
研究チームは、「二波パネルデザイン」を採用し、ヒントに曝露した同じ人々を数週間後にも再び調査することで、デジタルメディアリテラシーの効果がどれくらい続くかを知ろうとした。
参加者はヒントに曝露後、同じシリーズの模擬見出しを見せられ、正確性を評価した。見出しは、党派的な傾向、よく知られた、あるいは、あまり知られていないメディアアウトレット、および低品質と主流のコンテンツというように、バランスが取られていた。ヒントは回答者に提供されたが、読むことは強制されなかったので、研究チームはモデリングでこれを考慮に入れた。
二波デザインは米国とインドの両方で実施されたが、個別の詳細インタビューは、インドの都市部と農村部で行われた。
検討の結果、ヒントの提供は、人々の主流のニュースと偽のニュースの区別能力を米国では26.5%、インドでは17.5%高めたことが明らかになったという。米国では低下はしたものの数週間後にもこの効果は残っていた。
研究チームは、本研究についていくつかの注意点を挙げている。第一に、その影響は控え目なものであり、介入は偽の見出しに対する信念を完全に排除するものではなかった。効果は時間と共に減少し、定期的に教育する必要性を示唆するものだった。また、誰もが実際にヒントを読んだかどうかは本研究ではわからない。
出典は『国立科学アカデミー論文集』。 (論文要旨)
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