2020.6.22
, EurekAlert より:
恋人に満足し幸せを感じている乳がん生存者は、健康問題を起こすリスクが低いようだ、という米国オハイオ州立大学からの研究報告。
本研究は、恋愛関係それ自体がすべてを癒すわけではないことを示唆している。関係に満足している女性はまた心理学的ストレスが低いことを報告しており、これら2つの因子が血中炎症マーカーの低下と関連しているようだ。
研究チームは、乳がん生存者の疲労と免疫機能を評価した『キーコルト=グレイザー』研究のデータを二次分析した。
平均年齢55歳の女性139名が、乳がんと診断されてから3か月以内に1回と乳がん治療の終了後6-18ヵ月に2回、研究室を訪問してアンケートに回答し採血された。
アンケートの中には、恋愛関係の満足度を、女性に幸福の程度、恋人に感じる温かさと快適さの度合い、関係から得られる価値の大きさ、全体的な満足感を聞くことによって評価した。アンケートでは他に前週までの自覚的な心理学的ストレスのレベルが評価された。
研究チームはまた血液から炎症を促進する4種類のたんぱく質を測定した。慢性炎症は、2型糖尿病、関節炎、アルツハイマー病などさまざまな健康問題に関連するだけでなく、加齢に伴うフレイルや機能低下にも関連している。
データ解析の結果、全体としては女性が恋人との関係により満足しているほど、自覚されたストレスは低く、炎症も低いことが明らかになったという。
「本研究は、乳がん生存者が関係を育むことの重要性を示している。乳がん生存者のある者は、ストレスの多い時期に恋人とのつながりを支援する必要があるかもしれない。そのため、診察・治療の中でそれが適切だと感じられたら恋愛関係を考慮にいれて言及することが重要だろう」と主任研究者のロージー・シュトラウト博士はコメントしている。
出典は『精神神経内分泌学』。 (論文要旨)
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