2020.5.28
, EurekAlert より:
植物製品を食事などによって摂取した妊婦は、腸内細菌叢によって分解された代謝物が胎盤を通過し胎児に達する可能性がある、というスイス・ベルン大学からの研究報告。
これらの代謝物は胎児に有害である可能性があり、それは植物製品が天然かどうかは関係ない、と研究者らは警告している。
我々の身体の免疫系に対する腸内細菌叢のプラスの影響は以前から知られていたが、興味深いことに、母親の腸内細菌叢は妊娠中や出産直後の子供の免疫系の発達にすでに影響を及ぼしているという。
研究チームは、母体の腸内細菌叢が子供の免疫系の発達にどの程度関与しているかについて、最新の知見をまとめた。また、妊婦が食事を通じて摂取する植物ベースの物質の影響については、これまでの研究では過小評価されており、胎児に潜在的なリスクをもたらす可能性があるというエビデンスを発見したという。
食事からの代謝物は、母体に直接影響するだけでなく、発達中の胎児にも到達するが、それはしばしば腸内細菌叢によって代謝されたあとだけに見られるようだ。これはハーブ製品についてもいえるので、妊娠中に健康食品を摂取したり生薬を服用する場合には注意が必要かもしれない。
「植物製品は、天然成分しか含まれないという宣伝があるが、天然であろうとなかろうと外来性の物質であることに変わりはない。ヒトにとっては異物なのであり、取扱いには十分な注意が必要だ」と主任研究者のアンドリュー・マクファーソン教授はコメントしている。「特に、妊婦が植物製品を大量に摂取することは避けるべきだ。」
出典は『サイエンス』。 (論文要旨)
|