2020.5.26
, EurekAlert より:
学歴が高い人ほど理想的な食生活を送っており、特に鉄分と葉酸を豊富に摂取していることが明らかに。この傾向は特に低所得国ほど顕著に表れることが示された。欧州諸国を対象に行われた仏・リーズ大学の研究報告から。
この研究は、欧州12か国における27,334人の国民データを使用し、世界保健機関欧州事務局(WHOヨーロッパ)と共同で、社会経済的地位、学歴、食生活の相互作用を調査したもの。
高等教育を受けることは、ヨーロッパの低所得国における質の低い食生活を緩和する効果がある可能性が初めて示された。教育レベルが高い人ほど、健康的な食事の一環とされる栄養素、特に鉄分と葉酸の摂取量が多いことがわかった。
この調査結果は、低学歴の人たちに対し優先的に、良好な栄養を支援する強力な政策の必要性を強調しているという。
質の低い食生活や栄養失調は、肥満、高血圧、心血管疾患といった非伝染性疾患に関連し、ヨーロッパ全体で大きな健康問題を引き起こしている。2018年の統計によると、WHOヨーロッパの管轄地域に在住する成人の59%が過体重または肥満であり、非感染性疾患がこの地域での死亡、疾患、障害の主な原因だった。
世界保健機関は、このような病気を予防するための公衆衛生政策を周知するため、国家的な食事調査を実施してデータを収集することを、各国に奨励している。
ヨーロッパ全域にまたがるWHOヨーロッパ加盟国からの国民の食事調査データを組み合わせた調査は今回が初めて。主著者であるホリーリッピン博士は次のように話している。
「私たちの研究は、国民の所得と食事の質は関連しているようであり、教育は人々の健康に対する低質な栄養の長期的な悪影響の一部を防ぐことができることを示しています。低学歴グループと低所得国の教育を支援する戦略は、特に恵まれない境遇にある方々の栄養改善に効果的である可能性があります」
出典は『プロスワン』。 (論文要旨)
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