2020.5.25
, EurekAlert より:
アレルギーの抗体に関する新発見が、診断・治療を改善する助けになるだろう、という米国マサチューセッツ総合病院からの研究報告。『ネイチャー』誌に掲載。
アレルギーは、IgEと呼ばれる特異抗体がピーナッツなどのアレルゲンに結合することでアレルギー症状を起こす病気で重篤な場合にはアナフィラキシーを起こして死にいたることもある。
多くの研究者が、アレルゲン特異IgE抗体を持っていても多くの人がアレルギー症状を示さないという事実に困惑していた。たとえば、ピーナッツ特異IgE抗体を持つ人の約半数はピーナッツアレルギーを起こさない。
ロバート・アントニー博士ら研究チームは、この謎を解くために、ピーナッツアレルギーがある人のIgE抗体とない人のIgE抗体を比較した。そして、アレルギー患者のIgEでは、IgEに結合しているシアル酸と呼ばれる特殊な糖残基が増加していることを発見した。
研究チームはまた、動物モデルを用いた実験で、IgEにシアル酸残基を付加するとアレルギー反応が起こり易くなり、除去すると反応が減少しアナフィラキシーも減少することをつきとめたという。
「我々の結果が示しているのは、IgEのシアル酸の量がアレルギー疾患のより信頼性の高い診断指標になるということである。またIgEからのシアル酸の除去が新しいアレルギーの治療戦略として浮上したことである」とアントニー博士はコメントしている。
出典は『ネイチャー』。 (論文要旨)
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