2020.5.14
, EurekAlert より:
思考速度と歩行速度は、手と手をとりあって並行して低下していくようだ、という米国テキサス大学からの研究報告。
研究チームは、1992年に開始されたサンアントニオ加齢縦断研究(SALSA)の参加者370名(65-74歳)の平均9年半にわたる追跡データを解析した結果、対象者が3つの群に分けられることを発見したという。
●認知機能と歩行能力が安定している群(65.4%) ●認知機能と身体機能が脆弱な群(22.2%) ●身体機能が脆弱な群(12.4%)
370名のうち、半数の182名がメキシコ系米国人、188名が欧州系米国人だった。メキシコ系米国人の参加者は、学歴、収入、慢性疾患の有無を統計的に調整後も、欧州系米国人のほぼ4倍、認知機能と身体機能が脆弱な群に分類される可能性が高かった。特に糖尿病であることは、認知機能と身体機能が脆弱な群に分類される可能性が4倍高いことと関連付けられたという。
「我々が研究した集団の多くで、認知機能と歩行速度の変化は並行しており、これは共通のメカニズムの存在を示唆するものだ」と主任研究者のミッツィ・ゴンザレス博士は述べている。
「認知機能と歩行速度は、血管障害、脳組織損傷、ホルモン調節、そして脳内のアミロイドβおよびタウたんぱく質の異常沈着によって変化する可能性がある」と博士は述べている。「アミロイドとタウはアルツハイマー病の良く知られた指標だが、歩行にも影響する可能性がある。」
全体として、認知機能と身体機能が脆弱な群および身体機能が脆弱な群の者は、死亡リスクが5-7倍高かったということである。
出典は『国際老年精神医学雑誌』。 (論文要旨)
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