2020.4.8
, EurekAlert より:
生後3か月以内に離乳食を開始した乳児は、腸内細菌および短鎖脂肪酸と呼ばれる細菌の産生物のレベルに変化を来すことが示された。この変化は、その後の肥満や代謝・免疫疾患との関連が指摘されている状態だという。米ジョンズ・ホプキンズ大学の研究。
先行研究により、離乳食の早期開始は小児期の過体重リスクとの関連が指摘されている。今回の研究では、その原因の一つは、離乳食の早期開始により腸内細菌の構成が変わってしまうことである可能性が示唆された。
「離乳食の早期開始が、その後の肥満を引き起こすのかについてはわかっていませんが、私たちの発見は腸内細菌を乱すことが、説明のひとつになりえることを示唆しています」と同大学のミュラー助教授は話している。
小児科医の団体は概して、生後4-6か月の乳児に対しては母乳のみを与えること、その後、母乳または乳児用ミルクに加えて離乳食を与えるべき、ということを推奨している。先行研究では、生後6か月より早く離乳食を開始すると、小児期に過体重になりやすいことが示唆されている。また、離乳食開始時期が湿疹や食物アレルギー、花粉症などのアレルギー発症に影響するおそれを示している。
そこで研究チームは、離乳食開始時期と子どもの代謝や免疫の関係を調べるべく、67人の乳児の食事その他の状況について3か月ごとに母親へ聞き取り調査を行うとともに、生後3か月・12か月時点での乳児の便サンプルを分析した。
その結果、生後3か月以内に離乳食を開始した乳児の便サンプルは、それより遅く開始した乳児のものに比べて生後3か月・12か月時点いずれにおいても細菌の多様性が有意に高いことがわかった。また、短鎖脂肪酸については、酪酸と総短鎖脂肪酸の濃度が3か月時点では差がなかったが、12か月時点では、生後3か月以内に離乳食を開始した乳児の方が有意に高いことがわかった。
過去の研究でも、生後3か月時点での腸内細菌の多様性の高さが小児期の後期に過体重と関連していることや、成人において糞便中の酪酸や総短鎖脂肪酸の濃度の高さが肥満、糖尿病、高血圧リスクと関係することが示されている。
ミュラー助教授は、腸内細菌の変化が代謝と免疫の発達における共通の主要な要因であるという、新たなエビデンスと一致していると結論付けている。
出典は『BMC微生物学』。 (論文要旨)
|