2020.4.6
, EurekAlert より:
ほとんどの有名な食事法は通常の食事に比べて、6か月以上に渡りゆるやかな体重減少と心血管性リスクの改善をもたらすが、1年後にはその効果が消失してしまうという。短期的なメリットを享受したい場合は、いずれの方法も効果の差はほとんどないため、自分の好みの食事法を選択すればよいのではないか、とのことだ。中国蘭州大学などの国際研究チームの報告。
世界の肥満者数はこの40年ほどで約3倍に激増した。体重管理と心血管性リスク低減のために推奨されている食事法は山のようにある。
しかしこれまでのところ、減量、そして血圧やコレステロール値などの心血管性リスク因子の改善に対するさまざまな食事法の相対的な影響を比較した、包括的な分析は存在しない。
そこで研究チームは、過体重または肥満の成人の食事パターンと人気の食事法の相対的な有効性を確認することを目的とした。
方法としては、固有の名称がつけられた一般的な14の食事法(アトキンスダイエット、DASH食、地中海式ダイエットなど)と、体重減少や心血管性リスクへの効果を調べたランダム化試験の論文121件を精査した。対象者は、のべ21,942人(平均年齢49歳)であった。
これらの食事法は、主要栄養素の摂取パターンにより次の3グループに分けた。
@低炭水化物食(アトキンスダイエット、ゾーンダイエットなど) A低脂肪食(オーニッシュ食など) B中程度の主要栄養素食(低脂肪食よりも脂肪は多めで、炭水化物は少なめ。DASH食、地中海式ダイエットなど)
通常の食事と比較して、@低炭水化物食およびA低脂肪食は、6か月経過時点では同程度にゆるやかな体重の減少(4〜5 kg)と6か月後の血圧の低下がみられた。一方、Bの中程度の主要栄養素食は、その程度がやや控えめだった。
また、アトキンスダイエット、DASH食、およびゾーンダイエットは、通常の食事に比べ、6か月後の体重減少(3.5〜5.5 kg)と血圧低下に最も効果的だった。
一方で、HDLコレステロールとC反応性たんぱく質(炎症に関連する化学物質)のレベルを有意に改善した食事法は皆無だった。
全体的にみると、これらの食事法において体重減少と心血管性リスク因子への恩恵は、12か月経過後にはみられなくなってしまったが、唯一、地中海式ダイエットだけはLDLコレステロールのわずかな低下がみられたという。
この結果から研究者らは、それぞれの食事法は効果に大きな差はないため、焦点をあてるべきなのは「どの食事法を選択するか」よりも、「達成された減量を維持するためにはどれがベストか」であることを示唆している。
どの国の食生活ガイドラインも、国民の共感を得られていないため、個人に食品ベースのアプローチを取り、野菜、豆類、全粒穀物をより多く摂取し、砂糖、塩、アルコールを控えめに、と奨励することが有効なアドバイスであるという。また、ダイエットのサポートをする営利企業がどのようにして顧客の心をとらえて離さないようにしているかのノウハウを理解することが、効果的な健康増進活動に役立つのではないか、としている。
出典は『英国医学雑誌(BMJ)』。 (論文要旨)
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