2020.2.19
, EurekAlert より:
緑茶エキスと運動を組み合わせることで、高脂肪食摂取による肥満に関連した脂肪肝疾患のレベルを、75%も軽減することができたという。動物実験ながら、人間への応用が期待される。米国ペンシルバニア州立大学の研究。
非アルコール性脂肪肝疾患は、今後さらに拡大すると予想される重大な世界的健康問題であるため、今回の結果には重みがある、と研究者であるランバート准教授は話している。肥満や2型糖尿病といったリスク因子の有病率が高いことから、2030年までに1億人以上が脂肪肝疾患に苦しめられると予測されている。そして現在、この疾患の有効な治療法はない状態だ。
今回の研究では、16週間に渡りマウスに高脂肪食を摂取させ、それと並行して緑茶エキスを与えた群、回し車で定期的に運動させた群、緑茶エキスと運動を組み合わせた群、対照群の4群を比較した。結果、緑茶エキス+運動群は対照群に比べて肝臓の脂肪沈着の度合いが75%も軽減していた。一方、運動または緑茶エキスのいずれかのみの群は、約50%程度にとどまったという。
さらに、マウスの糞便中のたんぱく質と脂肪の含有量を測定したところ、緑茶エキス+運動群では、たんぱく質・脂質が多く含まれていたことが明らかになった。
これらのことから「緑茶のポリフェノールは小腸で分泌される消化酵素と相互作用し、食物中の炭水化物、脂質、たんぱく質の分解を部分的に阻害すると考えています」とランバート准教授。「つまり、マウスが食餌中の脂質を消化しなければ、その脂質と関連するカロリーはマウスの消化器系を通過し、ある程度の量が糞便中に出てくるということです」
また、エネルギー代謝やエネルギー利用に関連する重要な遺伝子の発現を測定したところ、緑茶エキス+運動群のマウスでは、実験前にはみられなかった遺伝子の発現増加を確認したという。
先行研究においてランバート准教授らは、緑茶エキス+運動の組み合わせにより、高脂肪食を摂取したマウスの体重が大幅に減少し、心血管の健康が改善されることを実証している。これを直ちに人間に当てはめることはできない、とはしながらも、運動時の水分補給に、高カロリーな飲料の代わりにノンカロリーの緑茶を用いることは「スマートな選択」なのではないか、と准教授は話している。
出典は『栄養生化学雑誌』。 (論文要旨)
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