2020.2.7
, EurekAlert より:
少数派と多数派の接触の影響は、かつて信じられていたよりも複雑なようだ、というスイス・チューリッヒ大学などからの研究報告。
50年以上にわたって社会科学者と実践家は異なる集団の構成員が互いに交流することが偏見を減らす効果的なツールであると示唆してきた。けれども最近の研究では、それは最も複雑でニュアンスを含んだものであるようだ。
共同研究者で米国マサチューセッツ大学のリンダ・トロップによれば、過去10-15年の研究では、集団間の接触のポジティブな効果は、歴史的に恵まれた集団(例えば白人、異性愛者)の構成員では、歴史的に恵まれなかった集団(例えば有色人種、性的マイノリティ)に比べて、弱まる傾向があることが示唆されていた。
また、接触は集団間の偏見を効果的に減らせるが、両者の社会的不均衡はほとんど変わらない、という懸念が高まっていた、トロップは言う。
「本研究で我々が望んだのは、どのように接触が社会的変化のサポートを促進する助けになっているかを明らかにすることだ。また、接触の効果が集団間の関係に依存して異なってくるかどうか、そのレリヴァント変数を測定することであった。そこで、我々は、この多国間研究において、世界12カ国の研究者が共同で、69か国12,997名から調査を実施した。」
データ解析の結果、頑健なエビデンスによって、歴史的に恵まれていた集団の構成員が恵まれない集団の構成員と接触すると、彼らは平等性を促進する社会的変化を支持する可能性が高いことが明らかになった。対照的に、歴史的に恵まれない集団の構成員が恵まれた集団の構成員と接触すると、一般的な平等性を促進するような社会的変化を支持しない可能性が高いことが明らかになった。
けれども、重要な例外もあるという。「恵まれた集団も恵まれない集団も、接触がより社会的平等性を達成するための連帯において働く意思を高める」とトロップは述べている。
今回の結果は、2つの重要な質問と今後の研究の方向性をもたらすという。「第一に、どうすれば恵まれない集団の構成員の支援を減らさずに、集団間で積極的かつ密接な接触ができるのか。第二に、どうすればネガティブな接触経験を要求することなしに恵まれない集団の構成員に社会変化を増やす支援が可能かということだ」とトラップらは述べている。
「双方の質問に対する可能な回答は、接触を推奨された恵まれた集団構成員が構造的不平等を公然と認め、恵まれない集団への支持の努力を表明することであるかもしれない」と研究チームは示唆している。
出典は『ネイチャー人間行動』。 (論文要旨)
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