2019.10.11
, EurekAlert より:
腸における栄養素の吸収を大地の昼夜サイクルと同期させることを助けるクロストークのカギとなる駆動因子を発見した、という米国テキサス大学南西医療センターからの研究報告。
この発見は、豊かな国々の肥満と貧しい国々の栄養不良を含む広範囲に影響を及ぼす可能性があるという。
研究チームは、哺乳類の腸に棲息する善玉の共生細菌が、食事由来の脂肪の吸収を支配する代謝リズムをプログラムすることを発見した。
また本研究では、腸内細菌が、腸の細胞が作るヒストンデアセチラーゼ3(HDAC3)というたんぱく質を活性化することによって、このいわゆる概日リズムをプログラムすることも明らかになった。これらの細胞は、食物の消化を助ける細菌と、栄養素の吸収を可能にするたんぱく質との間の媒介者として機能するという。
マウスを用いた研究で、HDAC3は、脂肪の吸収に関与する遺伝子を活性化する。HDAC3は、腸内において生物時計機構と相互作用することによって脂肪の吸収を促進するたんぱく質リズムの減衰と流れを微調整する。この制御はヒトでは昼間に起こり、夜行性のマウスでは夜間に起こる。
「腸内細菌は、代謝機構と通信して脂肪の吸収をより効率化する。しかし、脂肪が過剰になると、この通信は肥満を引き起こす可能性がある。同じことがヒトを含む他の哺乳類で起こっているかどうかは今後の研究課題である」と研究者はコメントしている。
出典は『サイエンス』。 (論文要旨)
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