2019.10.1
, EurekAlert より:
環境問題については、グローバルな食量システムのより包括的な評価が必要である、という米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校からの研究報告。
牛肉や豚肉などの大規模に生産される食品の環境コストについての認識が進む一方で、それ以外の多くの食品の影響は盲点になっており過小評価されているという。
「測定できないものを管理することはできない。少なくともうまく管理することはできない」と筆頭研究者のベン・ハルパーンは言う。「過小評価されている食品でなにが起きているか分からない場合、最も持続可能な選択を追求する食糧政策で賢明な決定は下せないだろう。」
「未評価の食品とは、標準統計から隠されている、あるいはほとんどの科学的評価から除外されたもの、たとえば裏庭やコミュニティガーデンで栽培された野菜、小規模漁業や養殖、ブッシュミートその他野生の収穫された食品などを含んでいる。
研究チームが文献検索した結果、76か国の動物性製品の半分以上、40か国の全食品の25%以上が過小評価された食品であることが明らかになった。つまり我々の知識と真実の間には大きなギャップが存在するのだという。
「我々はみな食べなければならない。我々はみなこの星を破壊しない方法でそれをしたいと望んでいると思う」とハルパーンは言う。最初に彼が評価ギャップに気付いたのは、食品研究のほぼ全てから海産物が除外されていることに気付いたときだったという。「食品科学と食品政策は、この星の70%がオーシャンであることを忘れていたのである。」
研究チームによれば、過小評価されている食品の環境影響は、商業的な農作物と牧畜のそれ以上に多様で変動が大きいという。したがってトレードオフも変わってくる。例えば、漁業者は一般に家畜業者に比べて炭素排出が少ないが、それは地域や機械化の程度によって変化する。別の例としては、ブッシュミートや野生の収穫物は、ある地域では生物学的多様性が低いが、周辺的な共同体に低コストの栄養を供給し、水質汚染や温室ガス排出への影響も少ない。
研究チームはまた、陸産物と海産物の間には無数の相互依存性があるという。天然漁獲物の27%は、養殖魚と家畜の飼料になるし、地上の汚染は海洋に流入して海洋資源に影響する。別の例としては、海藻をウシの飼料にすると、劇的にメタン排出が低下し、飼料用の農作物耕作の為の土地の必要性が低下するという潜在的可能性もある。
持続可能性と生物学的多様性を維持しつつ食糧安全保障を確保するために、政策はグローバル食糧システムのニュアンスと複雑性を反映したものである必要がある、と研究チームは言う。そのためには、食糧システムにおけるデータ収集、関連付けの優先度を高める必要があるという。より完全なグローバル食糧評価は、よりセンシティブで融通の効く地域的解決をもたらすだろう。
「我々は、包括的なアセスメントをしない限り、これをどうやって行うかを知ることはできない」とハルパーンは述べている。
出典は『国立科学アカデミー論文集』。 (論文要旨)
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