2019.9.18
, EurekAlert より:
3年間の二重盲検ランダム化臨床試験の結果、55-70歳の対象者が高用量のビタミンDを摂取しても効果が見られないことを発見した、というカナダ・カルガリー大学からの研究報告。
肌が太陽光に曝露した時に作られるビタミンDは、カルシウムを吸収して強く健康的な骨を維持するために必要なビタミンである。高緯度地方では、冬の日照時間が短いためビタミンD欠乏になり易い。
カナダ保健省は、1日推奨摂取量を70歳未満は600IU、70歳以上は800IUとしているが、骨粗鬆症のリスクの高い人々の場合、1日400-2,000IUのビタミンDが必要ともいわれ、また他にも様々な疾患の予防や治療のために推奨量の20倍も服用している場合があるという。
研究チームは、3年間の二重盲検ランダム化臨床試験の結果、55-70歳の対象者が高用量のビタミンDを摂取しても効果が見られないことを発見したという。
参加者は3群に分けられ、各々1日400IU、4,000IU、10,000IUを摂取した。参加者は、研究開始時と6,12,24,36カ月目に手首と足首のCTスキャンによって、骨密度と骨強度の両方を測定した。用いられた器械XtremeCTは研究専用で、これまでにない骨の微細構造を詳細にみることができるという。参加者はまた通常のDXAおよび血液検査も受けた。
成人は加齢とともにゆっくりBMDを失う。DXAの測定結果は、3群ともBMDの低下に違いないことを示したが、XtremeCTによる高感度測定では、3群間に骨量の有意な差が示されたという。
3年間のBMD減少は、400IU群で1.4%、4,000IU群で2.6%、10,000IU群で3.6%だった。予想された結果とは異なり、ビタミンDの高用量摂取は、より多くの骨量減少につながることが証明されたのである。研究チームはさらなる検討が必要だろう、としている。
研究の副次的結果として、1日10,000IUの摂取は高カルシウ尿症のリスクを高めた。また87名で高尿酸血症がみられた(400IUで17%、4,000IUで22%、10,000IUで31%)。
「本研究が示唆しているのは、大量のビタミンD摂取は骨に利益をもたらさないということだ」と研究チームの一員であるエマ・ビリントン博士は語っている。「健康な成人では、1日400IUが妥当であり、4,000IU以上の摂取は大部分の人に推奨されない。」
出典は『米国医学会誌(JAMA)』。 (論文要旨)
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