2019.9.10
, EurekAlert より:
1回の運動でも高齢者の認知機能や作業記憶を改善する効果があるようだ、という米国アイオワ大学からの研究報告。
研究チームは、1回の運動の効果を検討するために、定期的な運動をしていない60-80歳の34名を対象とし、ステーショナリーバイクで2回に分けて、軽い運動とより筋肉を使うレジスタンス運動を20分ずつしてもらった。運動の前後に、参加者は脳スキャンと記憶力検査を受けた。
脳スキャンでは、研究チームは、記憶を集積して共有する領域の活性の突発を調べた。作業記憶検査では、コンピュータ画面に3秒ごとに8人の若年成人の顔を映していき、2枚前の顔と同じ顔が映ったかどうかを決めさせた。
1回の運動セッションの後、研究チームは、参加者の何人かで内側側頭葉(記憶中枢である海馬の周囲)と認知と記憶に関与する頭頂皮質、前頭前皮質のコネクティビティが増加したことを発見した。これらの参加者は記憶検査も向上した。それ以外の参加者ではほとんどあるいはまったく効果がみられなかった。
また、有効であった者でも、効果は短時間しか継続しなかったという。
研究チームは、1回50分のステーショナリーバイクを週3回3か月間継続する運動介入も実施した。前後比較において、大部分の参加者に作業記憶検査における効果がみられたが、その改善の度合いは、1回の運動セッションで得られるものよりも大きくはなかったという。
「1回の有酸素運動セッションが、12週にわたるトレーニングの効果に類似しているというのは、実践的にも理論的にも重要である」と研究チームは述べている。
出典は『スポーツ及びエクササイズの医療と科学』。 (論文要旨)
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