2019.8.15
, EurekAlert より:
健康的なライフスタイルは、認知症の遺伝的リスクを補填できる可能性が、英国エクセター大学等の研究により初めて示された。
研究では、英国バイオバンクの60歳以上のヨーロッパ系の成人196,383人(60歳以上)のデータを分析した。対象者を、認知症の遺伝的リスクが高い、中程度、低い3つにグループ化した。遺伝的リスクの評価には、これまでに公表されたデータを調査し、アルツハイマー病の既知の遺伝的リスク因子を特定した。各遺伝的リスク因子は、アルツハイマー病に関連する強さにより加重した。また、ライフスタイルの評価については、自己申告により食物摂取、身体活動、喫煙、アルコール摂取状況を把握し、ライススタイルが好ましい、中間的、好ましくない、の3つのカテゴリーにグループ化した。
8年間の追跡調査期間中、1,769例の認知症を同定した。
結果、認知症の遺伝的リスクの高い人は、低い人に比べて認知症発症率が約2倍となった。そして、遺伝的リスクが高い者のうち、ライフスタイルが「好ましい」者は「好ましくない」者と比し、認知症の発症率が32%少なかったという。遺伝的リスクが高く・ライフスタイルが「好ましくない」者は、遺伝的リスクが低く・ライフスタイルが「好ましい」者と比し、認知症を発症するリスクが約3倍高かった。なお、認知症の遺伝的リスクの高さとライフスタイルの好ましさの度合いには相関性はみられなかった。
「遺伝のために、認知症の発症を避けられないと考える人もいる。しかしながら、健康的な生活を送ることで、認知症のリスクを大幅に減らせる可能性がある」と、デイビット・ルウェリン博士は述べている。
出典は『米国医学会誌(JAMA)』。 (論文要旨)
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