2019.8.9
, EurekAlert より:
暗黙のバイアスを変えても、行動が変わるとは限らないようだ、という米国セントルイス・ワシントン大学からの研究報告。
人種に対するバイアスのような暗黙のバイアス(implicit biases)は、人々の考え方に影響を及ぼすと考えられている。だから、バイアスをなくせば、人々のバイアスに影響された行動は変化するだろうと考えるのは理にかなっているようにみえる。
けれども、新しいメタ分析によれば、そのような因果的な関連は見られないようだ。
研究チームは、人々の制御不能で無意識の精神過程を変えることに関する、87,000人以上の参加者を含む492件の先行研究を系統的にレビューした。
その結果、暗黙のバイアスは変えることができることがわかったが、それは劇的にとは言いがたかったという。
さらに、63件のバイアスの変化と行動変化の関連を調べた研究を検討した結果、両者に因果的な関係が存在するというエビデンスは存在しないことを発見した。
「我々はまったく予想だにしなかった」と研究者は言う。「これは、暗黙のバイアスと行動のあいだの関係についての一般的な仮説に対する挑戦である。」
研究チームでは、その原因について4つの可能性を述べており、そのひとつは、実際に因果関係は存在しないというものだが、研究チームでは、ほかの多くの研究からそれはないのではないか、と言う。だが、結局どれが原因であるかは不明なままだ。
研究チームは、本研究がその性質上、利用できる文献に全面的に依存しており、そこでは短い介入と評価に焦点が当てられていること、対象者に大学生が多いことなど限界の多いことを指摘している。
出典は『性格心理学及び社会心理学雑誌』。 (論文要旨)
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