2019.8.7
, EurekAlert より:
行動を延期する傾向のある人々がいるが、女性の場合、この形質は、脳のドパミンレベルを高める遺伝的素因に関連しているようだ、という独ルール大学ボーフムとドレスデン工科大学からの研究報告。
「神経伝達物質のドパミンは過去にも繰り返し認知的柔軟性の増加との関連が指摘されてきた」と主任研究者のエラン・ゲンス博士は語っている。「これは基本的には悪いことではないが、しばしば注意力の散漫さの増加が伴っているのだ。」
研究チームは、278名の男女の遺伝子型を検討した。特に、チロシン脱水素酵素遺伝子として知られているものに興味をもっていたという。この遺伝子の発現に依存して、人々の脳は異なる量のカテコールアミンファミリーの神経伝達物質を持つことになるからだ。ドパミンもこのファミリーのひとつである。研究チームはまた、質問紙を用いて、人々がどのように行動を制御することができるかを記録した。貧しい行動制御の女性は、ドパミンレベルが高い遺伝的素因をもっている傾向がみられたという。
ある人が、仕事を延期する傾向があるか、あるいは彼に干渉する因子に気を散らすことなく、特別な集中力を維持する能力に直接的に依存して取り組む傾向にあるか。ここではドパミンが重要な役割をはたす可能性があるという。先行研究において、この神経伝達物質は認知的柔軟性の上昇に関連するだけでなく、情報がワーキングメモリ(作業記憶)に入り込むことを容易にすることが示唆されている。
「我々は、それが行動に特別な集中力を維持するのをより困難にするだろう、と考えた」と共同研究者で博士候補生のカロリーネ・シュリューターは語っている。「遺伝子型の結果としてドパミンレベルが高い傾向の女性は、行動を延期する傾向がある。なぜなら、彼女らは周囲のあるいは別の因子によって気を散らされ易いからだ。」
研究チームは、先行研究の結果から、この現象が性特異的である理由としてエストロゲンが脳内のドパミン生産に間接的に影響を及ぼすことを指摘している。
出典は『社会認知と愛情神経科学』。 (論文要旨)
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