2019.8.5
, EurekAlert より:
世界的にみると、60歳以上のフレイルの発症率は1年あたり4.3%であるほか、女性は男性よりもリスクが高いことが示された。地域在住高齢者のフレイル・リスクに関する世界規模の研究としては初めてのものだ。豪・モナッシュ大学の研究。
フレイルとは加齢に伴い筋力や心身の活力が低下し、ストレスに対する回復力が低下した状態(要介護状態に至る前段階)を指す。これは医学的、社会的、経済的に重要な意味を持っている。
豪州モナッシュ大学・アセンソ博士らの研究チームは、46報の研究の統合解析によって、60歳以上のフレイルの発症率が1年あたり4.3%になることを明らかにした。また、女性は男性よりもフレイルのリスクが高いことも示された。なお、対象は28か国計12万人であった。地域在住高齢者がフレイルに至る可能性を推定する、初めての世界規模の研究だ。
フレイルについて、世界的に統一された基準は未だ存在しないが、研究者や臨床医は次の5つの基準のうち3つを満たした場合にフレイルとみなすことが一般的だ。
・身体活動が低い ・握力が弱い ・低エネルギー状態 ・歩行速度が遅い ・意図的でない体重減少
フレイルは、QOLの低下・死亡・入院および施設入所のリスク増加に関連している。この症状は高齢者の間で発生する傾向があるが、若年者でも障害を伴う慢性疾患を1つでも持つ場合、フレイルを発症する可能性がある。
2050年までに世界の人口の20%以上が60歳以上になり、フレイルの人は増加することが予測されている。
アセンソ博士は「我々の結果は、高齢者のフレイル発症リスクが高いことを示唆しています。これは世界的な問題であり、高齢者人口の多い国々が直面する、大きな課題を浮き彫りにしました」としている。
しかし、希望がないわけではない。筋力トレーニングやたんぱく質補給などによって、フレイルの予防や進行を遅らせるのに役立つとされる。
それゆえ博士らは、「高齢者がフレイルを発症するリスクを評価するための定期的なスクリーニングをし、適切な介入をその時に合った方法で実行するとよいでしょう」としている。
さらに先行研究で、博士らはフレイルが治ることもある可能性を発見しており、フレイルという状態は動的なものであることを示唆している。
出典は『JAMAネットワークオープン』。 (論文要旨)
|