2019.7.22
, EurekAlert より:
肥満高齢者の有酸素運動とレジスタンス運動の組み合わせは、減量中でも筋肉たんぱく質合成を高め筋肉の質を維持することによって、筋量を保持し、フレイルを予防し、体重を減らすようだ、という米国ベイラー医科大学からの研究報告。
既に研究チームは、減量中の身体機能の低下を補完するものとして、レジスタンス運動が最適だろうという仮説の元、体重コントロール中の対象者に、有酸素運動にレジスタンス運動を組み合わせることで、有酸素運動単独の場合と同様に心血管フィットネスが改善され、レジスタンス運動単独の場合と同様に筋力が改善されること、組み合わせが肥満高齢者の身体機能を大きく改善し、フレイルを減少させることを2017年5月に『ニューイングランド医学雑誌』 (doi: 10.1056/NEJMoa1616338) に報告していた。
けれども、いかにして肥満高齢者が、レジスタンス運動の組み合わせで、有酸素運動による心血管フィットネスを高めるのか、はっきりとはわかっていなかった。
今回研究チームは、分子及び細胞技術を用いて、筋肉のたんぱく質合成と筋細胞の質の変化を調べ、背後にあるメカニズムを検証した。
当初の研究参加者160名のうち、6か月間の生活習慣介入の前後に筋肉バイオプシーに同意した47名を対象にした。参加男女は69-72歳で、半数がヒスパニックだった。有酸素運動は、トレッドミル歩行、ステイショナリーバイク、階段昇降であり、最大心拍数の約65%の強度で実施した。レジスタンス運動は、9上半身・下半身重量挙げマシンで8-12回を1-3セットとした。
研究の結果、介入群は、対照群に比べて、有酸素運動とレジスタンス運動の組み合わせで、筋肉のたんぱく質合成速度が、レジスタンス運動の増加によって高まることが明らかになったという。また筋委縮に関連する遺伝子発現が低下し、筋成長制御因子がベストに保たれることがわかった。
「我々の研究結果が示しているのは、食事による減量からくる負のエネルギーバランスにもかかわらず、肥満高齢者のトレーニングが筋量を維持して、身体機能を改善し、フレイルを減らす助けになるということだ」と研究者はコメントしている。
出典は『細胞代謝作用』。 (論文要旨)
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