2019.7.22
, EurekAlert より:
過去20年間に蓄積された臨床研究のメタアナリシスの結果から、大豆たんぱく質にはコレステロール値を低下する働きが一貫して認められた。カナダのトロント大学からの研究報告。
この研究は、「大豆たんぱく質と心臓病に対する健康強調表示を取り消す」という米国食品医薬品局(FDA)の計画に疑問を投げかけている。
研究者らは累積メタアナリシスとよばれる手法で過去20年間の研究結果の統合解析を実施し、大豆の影響を調べた。対象とした研究は、FDAが2017年に大豆の健康強調表示の取り消し案を出した際に引用した46件とした。
これらの研究をそれぞれ個別にみると、大豆のコレステロール低下作用には一貫性が欠如しているのだが、今回の累積メタアナリシスの結果では、46件すべてにおいて大豆が総コレステロール値とLDLコレステロール値の両方を下げることを示した。
「サンプルサイズが少ない場合、結果への影響が大きくなる場合があります。しかし、サンプルサイズが増え、結果がより正確になっていくにつれて、その影響は時間とともに弱くなるという、平均への回帰が生じてしまう場合があるのです。例えば魚油では、こういったことが見られました。しかし今回のケースでは、(サンプルサイズが増えても結果が一貫しており)何も変化は起こりませんでした」と、著者のひとり、トロント大学のジョン教授は述べている。
今回明らかになった、コレステロール値の下げ幅は5%未満と少ないながら、他の植物性食品の摂取割合を増やすなどの取組と組み合わせれば、大幅な効果が見込めるとし、心臓病のリスクは最大30%低下させられるとしている。
FDAはこの夏にも、大豆の健康強調表示を取り消すか、または維持するかの決定を下すとみられている。
出典は『米国心臓学会雑誌』。 (論文要旨)
|