2019.7.18
, EurekAlert より:
摂食行動を変化させるために脳の他の領域と協働して働くニューロンのネットワークを同定した、という米国アリゾナ大学からの研究報告。疾患によって食欲が消失したり過食に陥っている患者の助けになることが期待されるという。
脳の複数の領域は食欲の調節を協働して行う。研究チームは、交響曲の指揮者のように、食欲の抑制と活性化を制御する脳の領域を発見したと主張している。
研究チームが見つけたのは、拒食症のような食欲喪失の調節をする神経回路である、と主任研究者のハイジン・カイ助教授は語っている。
拒食症は疾患が起こす炎症が引き金になって起きることがあり、それは回復と治療の成否に負の影響をもたらすことがある。QOLを損ない障害性を高める。
研究チームは、マウスの脳の扁桃体中のある特異ニューロンが摂食行動を制御するかどうかを見極めようと、ニューロンを阻害したところ、食欲が高まったという。次にニューロンを活性化すると、食欲は低下した。
「摂食行動は単純に見えるが、実際は違う」とカイ助教授は言う。「人々が空腹を覚えるとき、それは栄養の不足を補うためであったり、美味しい料理を食べて満足したいためであったりする。ひとたび食物をみつければ、我々はそれを噛んで飲み込む前にそれが良いものであることをチェックする。このポイントを通過して、我々は満足を覚える。」
理論的には、各々のステップは異なる神経回路によって制御されている。
「我々が見つけた神経回路が本当にエキサイティングなのは、それが脳の多くの領域が相互に通信し合うことを示唆しているからだ」とカイ助教授は語っている。「この知見が、摂食行動の異なるステップをコーディネイトしている方法の理解を深めることにつながることを期待している。」
出典は『ネイチャーコミュニケーション』。 (論文要旨)
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