2019.7.12
, EurekAlert より:
食物新奇性恐怖は、食事の質を低下させ、慢性疾患のリスク因子、ひいては2型糖尿病や心血管疾患のリスクを上昇させる原因になるかもしれない、というフィンランド国立厚生研究所、ヘルシンキ大学、エストニア・タルトゥ大学からの研究報告。
食物新奇性恐怖は、馴染みのない食物を拒否する行動特性である。本研究は、食物新奇性恐怖を含めた食行動が食事の品質と生活習慣病のリスク因子に及ぼす個々のインパクトについて検証している。これまで、この分野の研究はほとんど存在していないという。
研究チームは、25-74歳の参加者を含む、フィンランドのFINRISKおよびDILGOMコホートとエストニアバイオバンクコホートの7年間の追跡調査データを解析した。
食物新奇性恐怖には強い遺伝的特性があることが観察されてきたという。双生児研究では、78%が遺伝であることが報告されている。この特性は食物新奇性恐怖(FNS)質問紙によって容易に測定可能である。この質問紙は10の質問を含んでいる。
食物新奇性恐怖は小児と高齢者には特に一般的に見られるが、成人を対象にした食物新奇性恐怖の研究はほとんどない。
食物新奇性恐怖に似た他の特性として、偏食や好き嫌い(picky and fussy eating)にも年代に偏りがみられる。これらの食特性は食事の質とそれにその結果としての健康に有意な影響を及ぼすと思われる。
研究チームは、食物新奇性恐怖が、低い食事の質に関連していることを発見した。たとえば、食物繊維、たんぱく質、一価不飽和脂肪酸の摂取量が少なく、飽和脂肪酸、塩分の摂取が多い傾向が見られた。
加えて食物新奇性恐怖には、悪い脂肪酸プロフィールと血中炎症性マーカーの上昇に関連がみられたという。さらに、心血管性疾患および2型糖尿病の発症リスクの増加にも関連がみられた。
本研究において、食物新奇性恐怖の影響は体重、年齢、社会経済状態、性別、居住地域からは独立していたという。
出典は『米国臨床栄養学雑誌』。 (論文要旨)
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