2019.7.9
, EurekAlert より:
小さな化学構造の変化(二重結合の有無)が、健康なマウスとインスリン抵抗性で脂肪肝のマウスの違いを生み出すようだ、という米国ユタ大学からの研究報告。
研究チームは、ジヒドロセラミドデサチュラーゼ1(DES1)と呼ばれる酵素を不活性化することによってメタボリックシンドロームの進行を変えることに成功したという。この酵素の、セラミドと呼ばれる脂肪から末端の2つの水素を除去して二重結合を作る活性を止めることによって、体内のセラミドの総量が低下する効果が生まれる。
研究チームは、遺伝子組み換えとRNAの肝臓への注入という2種類の方法で酵素を不活化した。
高脂肪食で肥満したマウスにこの処置を施した結果、肥満は解消されなかったが代謝が顕著に改善された。脂肪肝が解消され、インスリン抵抗性も改善した。処置後少なくとも2か月は、マウスは健康を維持しており、長期にわたる影響については現在検討中であるという。
この知見は、代謝的な健康におけるセラミドの役割をクローズアップするものであり、DES1をピンポイントに薬剤標的として用いる新しい代謝疾患の治療法の開発につながる可能性があるという。
「我々の研究が示しているのは、セラミドが代謝的健康に及ぼす重要な役割である」と共主任著者のスコット・サマーズ博士は語っている。「我々はセラミドが次のコレステロールだろうと考えている。」
出典は『サイエンス』。 (論文要旨)
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