2019.7.8
, EurekAlert より:
母親が妊娠前に肥満していた場合、母乳の生産に変化がみられ、その結果乳児の成長に影響するようだ、という初めての報告が米国ルイジアナ州立大学によって発表された。
「本研究の重要性は、母乳の成分が母親の受胎時の体重に依存して変化し、母乳を与えられた乳児の成長と発達に影響を及ぼすということだ」と筆頭研究者のヘンリー・ナス博士は語っている。
「小児肥満率は米国この数十年の間に顕著に増加している」と主任研究者のメリンダ・サザーン教授は語っている。「多くの研究が、母乳哺育が乳幼児の過剰な体重増加を抑える効果について示しているにも関わらず、それがなぜなのかを完全に理解しているわけではない。」
母乳にはTNF-αやインターロイキン-6(IL-6)のような炎症促進性のたんぱく質をインスリンやレプチンのようなホルモン同様に含んでいるが、オメガ-3系およびオメガ-6系の多価不飽和脂肪酸も含んでいる。これらの成分が乳児の成長にどのように影響するかはよくわかっていない。
研究チームは、妊娠前に普通体重(BMI25以下)または肥満(BMI>25)だった母親33名の出産後の血中と母乳中のこれら成分と、乳児の4-8週齢の成長との関係を検討した。
データ解析の結果、妊娠前の母親の体重に関係なく、炎症促進性因子が乳児の成長に影響することが明らかになったという。けれども、妊娠前に肥満だった母親から生まれた子供は、母乳による成長が低めだった。
「肥満だった女性から生まれた乳児は、母乳に対する反応が最適でなく代謝的にプログラムされているようにみえる」とナス博士は述べている。「妊娠可能時期の女性は体重が子供の成長に良くない影響を及ぼす可能性を考慮するべきだろう。」
出典は『プロスワン』。 (論文要旨)
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