2019.6.25
, EurekAlert より:
ステビアの強い甘味を作り出す分子メカニズムを明らかにした、という米国セントルイス・ワシントン大学からの研究報告。多くのステビア製品にある後味を残さない新規非カロリー飲料の開発に役立つかもしれないという。
ステビアの生合成経路については遺伝子とたんぱく質がほぼ完全に解明されているが、今回初めてリバウジオシドA(RebA)を作るたんぱく質の3次元構造が明らかにされた。これはステビアに含まれる主要な甘味成分である。
「糖尿病や肥満で食事から糖分を除去する必要があるとき、化学合成人工甘味料(アスパルテーム、サッカリン、など)を使うことが多いが、これらすべてに糖とは関係ない異味がある。それ自身別の健康問題が懸念されるものもある」と筆頭研究者のジョゼフ・ジェス教授は語っている。
「ステビアとその関連分子は植物に含まれる天然成分であり、グルコースの200倍以上の甘みを持つ」と彼は言う。「中南米では数世紀にわたって使われてきており、安全であるようにみえる。多くの食品飲料メーカーが、砂糖とカロリーを低減させるための種々の開発プロジェクトを抱えている。」
研究チームは、RebAたんぱく質の構造をX線結晶解析によって決定した。彼らの分析によってRebAがどのように植物のカギとなる酵素によって合成され、その高密度の甘味に必要な化学構造が生化学的に組み立てられるのかが明らかになったという。
グルコース1分子の200倍の甘さを作り出すために、植物酵素は3つの特別な糖によってコアテルペン足場を修飾する。
ステビアの過剰な甘みには、けれども望まれないフレーバーというマイナス面も存在する。
「私にとって、ステビアの甘みは、アルミホイルを舐めたときのような後味を伴う」とジェス教授は言う。多くの者がこのわずかに金属的な後味を経験しているだろう。
「この味は、植物の葉に含まれる優勢な分子、ステビオシドとRebAに特徴的であり、その化学構造が舌の味覚受容体を刺激して甘みを作り出す。しかしそれが同時に別の味覚受容体も刺激するのである。」
「RebAは、ステビア植物に豊富に含まれ、精製が容易である。これを「ステビア1.0」と名付けよう。葉にはほかにも、甘さだけで後味を残さない構造の分子も含まれている。それらが「ステビア2.0」であり、成長株であるだろう。」
新しく報告されたたんぱく質の構造に関する情報は、多くのやり方で甘味料を改善する役に立つという。
「遺伝子組み換えによって、RebAを作り出すたんぱく質を作り変えて、ステビア中の甘味成分のパターンを変化させることができる。また、ステビア以外の植物に含まれて甘味料の候補になる分子を見つける助けになるだろう。」
出典は『国立科学アカデミー論文集』。 (論文要旨)
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