2019.6.18
, EurekAlert より:
ラットの研究によると、妊娠時にリノール酸を多く摂った場合、妊娠合併症やこどもの成長に影響するかもしれないという、豪州グリフィス大学からの研究報告。
西洋諸国では、ポテトチップスや植物油などに含まれるオメガ6系脂肪酸、特にリノール酸を多く摂っている。先行研究では、リノール酸が炎症の促進や、心臓病リスクの増加と関連することが報告されている。
本研究では、妊娠したラットに1日に推奨される3倍以上のリノール酸を与えた結果、仔に有害であったことが明らかになった。高リノール酸の食事を食べた母親ラットでは、肝臓の炎症性たんぱく質濃度が変化し、妊娠中に子宮の収縮を引き起こすたんぱく質濃度が増加した。
これらの変化は、妊娠合併症や胎児の発育不良のリスクを増加する可能性がある。
もし、ヒトでも同じような影響があるならば、妊婦はリノール酸を摂り過ぎないようにする必要がある。
研究者は、ラットに10週間、高リノール酸の食事を与え、妊娠中の影響と仔の成長を観察した。特に、母親と仔の体重や組織重量、肝臓の炎症性たんぱく質、コレステロールやレプチンの濃度の変化を調べた。
また、ラットは1度の妊娠で複数の仔を出産するが、高リノール酸の食事を摂取した母親から産まれる仔のうち、オスは数が少ないことがわかった。
ヒトにおいては、リノール酸の多い食事を食べる人は、砂糖や食塩、脂肪の多い傾向があることに注意が必要である。しかし、本研究では、食事中のリノール酸の量のみを変えていた。
「妊娠中の女性は食事に気を付けることが重要です。本研究は、特定の栄養素を過剰摂取した場合、胎児に悪影響を及ぼす可能性があることを示した1例でしょう」と筆頭著者のスケリー博士は述べている。
出典は『生理学雑誌』。 (論文要旨)
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