2019.6.6
, EurekAlert より:
一般に信じられているところとは異なり、牛肉や豚肉などの赤肉と鶏肉などの白肉は、血中コレステロール値に同等の影響をもつようだ。米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校からの報告。
研究チームは、BMIが20-35kg/m2の21-65歳の健康な男女を、ランダムに2群に分けた。1群は高飽和脂肪酸食(高SFA)、別の1群は低飽和脂肪酸食(低SFA)とした。そして各群において、参加者はランダムな順番で4週間ずつ、1)赤肉食、2)白肉食、3)非肉たんぱく質食を摂取した。
主要なアウトカムとして、LDL-コレステロール、アポリポたんぱく質B(apoB)、スモール+ミディアムLDL粒子、総/HDL-コレステロールを測定した。
3種類の食事をすべて完了した、高SFA群61名、低SFA群52名のデータを分析した結果、3)非肉たんぱく質の時に比べて、1)赤肉と2)白肉の時に、LDL-コレステロールとapoBが有意に高かったという。これは主としてラージLDL-粒子の増加の結果であり、スモール+ミディアムLDL粒子と総/HDL-コレステロールは、たんぱく質源が異なっても影響を受けなかった。
主要なアウトカムにおいて、赤肉と白肉のあいだに統計的な有意差はみられなかったという。
また、たんぱく質源とは独立に、高SFA群は、低SFA群に比べて、LDL-コレステロール、apoB、ラージLDLが有意に増加していた。
「これらの結果は、植物性のたんぱく質の比率を増やした食事を積極的に摂るべきだという現在の推奨を支持する知見であるが、脂肪とリポたんぱく質への効果を考えた場合、心血管系疾患の発症リスクを下げるために白肉を赤肉よりも選択すべきだというエビデンスを供給するものではない」と研究チームは結論付けている。
「この研究を計画した時、赤肉のほうが白肉よりもコレステロールに悪影響を及ぼすことを予想していたが、実際にはそうではなかった」と主任研究者のロナルド・クラウス教授は語っている。
本研究で用いられた肉には、牧草で育てられた牛肉やベーコン、ソーセージなどのような加工製品は含まれていないという。また魚介類も含まれていない。
「実際のところ、赤肉にはコレステロール以外の別の影響によって心臓病に寄与する可能性があり、健康改善のためにそれらについてももっと探求していく必要があるだろう」とクラウス教授はコメントしている。
出典は『米国臨床栄養学雑誌』。 (論文要旨)
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