2019.6.3
, EurekAlert より:
高めのコレステロール摂取または1日1個までのタマゴの摂取は、脳卒中のリスクとは関連がないようだ、という東部フィンランド大学からの研究報告。
さらに、フィンランド人に多く、コレステロール代謝に影響を及ぼすAPOE4遺伝子変異との関連ももられなかったという。
これまでの研究では、コレステロールとタマゴの摂取と脳卒中リスクとの関連についての報告は矛盾していた。ある研究では、コレステロールを多く摂取することと脳卒中リスクの上昇に関連が見出されていたが、別の研究ではコレステロールを多く含むタマゴの摂取と脳卒中リスクの低下に関連が見出されるという風であった。
大多数の人にとって、食事中のコレステロールは、血清コレステロールに殆ど影響しないが、APOE4というフィンランド人に多い遺伝子変異の保持者は、コレステロール摂取によって血清コレステロールが上昇する。今までこの遺伝子変異を持つ集団におけるコレステロール摂取と脳卒中リスクの関係は明らかでなかったという。
研究チームは、クオピオ虚血性心疾患リスク因子研究において、心血管疾患のない42-60歳の男性1,950名を対象に、1984年から1989年にかけて食習慣の調査を行った。APOE遺伝子については、そのうちの1,015名について測定され、32%がAPOE4遺伝子保持者であった。
21年間の追跡期間中に、217名が脳卒中の診断を受けた。
データ解析の結果、コレステロールの摂取とタマゴの摂取のどちらも、脳卒中の発症リスクとの関連がみられなかった。APOE4遺伝子の保持者においても関連はなかったという。
この知見が示唆しているのは、ほどほどのコレステロール摂取あるいはタマゴの摂取は、脳卒中のリスクと関連しないということであり、それは遺伝的にコレステロール摂取が血清コレステロールに大きく影響する人々においてもそうだということである。
コレステロール摂取量が最も高かったグループの平均摂取量は1日520mgであり、タマゴ1日1個程度であった。従って、今回の結果からは、大量にこれらを摂取する人々についてはなにもいうことができないという。1個の卵には200mgのコレステロールが含まれている。本研究では、参加者の多くは、コレステロールの1日摂取量の4分の1程度を卵から得ていた。
さらに本研究の一般化という点からみると、対象者は心血管疾患の診断を受けていない者に限定されていた。また対象人数も比較的少なめであった。
したがって、今後本研究の知見はより大規模のコホートにおいて、また心血管疾患の既往のある者も含めて検証される必要があるだろう、と研究チームは結論付けている。
出典は『米国臨床栄養学雑誌』。 (論文要旨)
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