2019.5.20
, EurekAlert より:
子どもの食べ物の好き嫌いは、意外にシンプルな方法で直すことができるかもしれない。嫌いな食べ物でも「これを食べると足が速くなるよ」など「子どもの向上心に響く」言葉掛けとともに出してみると効果があるという。ただし、気長に続けることが必要なようだ。米国ワシントン州立大学などの研究。
身体によいものを食べ、健やかに育ってほしい・・・と願ってはいるものの、お子さんの好き嫌いに悩まされているという子育て中の方に参考になりそうな方法。お金もかからず手軽にできるため、今日から試してみてもよいかも?
ワシントン州立大学のラニガン准教授らの研究チームは、幼児を対象とした実験から、子どもが健康な食べ物を選択できるようにするためには、たとえば「もっと大きくなりたかったらお豆を食べるといいよ」といった肯定的な言葉掛けが有効であることを見出した。言葉掛けをしなかった食べ物に比べ、食べる量が2倍以上になったのだという。
この言葉掛けのフレーズを選ぶ際には、2つのポイントがあるという。 「どの子供も、大きくなりたいとか、速く走りたい、高くジャンプできるようになりたい、と願っています。これらの例を用いて、食べ物を魅力的なものにさせるのです」とラニガン准教授。子供たちの向上心に響きつつ、正確な栄養情報に基づくフレーズ(これをCCNPsと名付けた)を使うのだという。
研究チームは3-5歳児87人を対象に6週間に渡る実験を行い、健康的な食べ物を提供することにした。実験開始前には、子どもたちの好き嫌いを把握するために、異なる食品群から選定した4つの食品を各自ランキングしてもらった。用いられた食品は、ピーマン(野菜類)、トマト(野菜類)、キヌア(穀類)、レンズ豆(たんぱく源)だった。
子どもたちには、各自が下位1番目・2番目にランキングした食べ物の両方を提供したのだが、そのうち一方を提供する際にはその食品の利点についての年齢に応じた話りかけ(CCNPs)を行った。もう一方の食品を出す際には、単に「どうぞ召し上がれ」とだけ言って出した。なお、2つのうちどちらの食品をCCNPsの対象にするかはランダムに決めておき、これを6週間継続した。
子どもたちが各食品を摂取した量について、試験前・試験直後・試験終了後1か月時点の3回、計量したところ、試験前と比べて直後では何の変化もみられなかったという。
ところが、試験終了後1か月時点では大きな変化があった。CCNPsをした食べ物は、そうしなかった食べ物に比べて2倍多く食べるようになっていたのだという。CCPsを用いた方法では、時間の経過によって、子どもの苦手だった食べ物の摂取量が増えるようだ。
2児の母でもあるラニガン准教授は「親たちは『子どもに何を食べさせるべきか』についてはよくいわれるのですが、『どうやったら食べさせられるか』はいわれません。私はこのギャップを埋めたかったのです。これは本当に大事なことです」などと話している。
出典は『栄養教育行動雑誌』。 (論文要旨)
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