2019.4.26
, EurekAlert より:
近親者の死やトラウマ等によるストレス障害は、循環器疾患のリスクを高めるようだという、アイスランド大学医学部からの研究報告。
だれもが人生の中で愛する人の死や自然災害、暴力などさまざまなストレスにさらされている。けれども、これまでの研究は、退役軍人のPTSD(心的外傷後ストレス障害)に対するものが多かった。
今回の研究では、スウェーデンの国レベルのデータで、1987年1月から2013年12月の間にPTSD、適応障害等を含むストレス障害のある136,637人の患者を症例群とした。対照群は、障害を発症していない一般集団で、性別と年齢をマッチさせ、無作為に1人の患者に対して10人を選んだ。症例群と対象群における16の循環器疾患リスクを比較した。また、障害を発症していない兄弟姉妹をマッチした場合についても検討した。
その結果、心停止や心臓発作などの重篤で急性な循環器疾患リスクは、ストレス障害と診断された直後の1年間で最も高かった。対照群として兄弟姉妹と比較すると、症例群は、診断後1年以内にいくつかの循環器疾患発症リスクが64%高かった。一般集団を対照とした場合にも同様であった。
特に、50歳以上より50歳未満の人で、循環器疾患の発症リスクが高かった。
本研究は観察研究であり、重度のストレスと循環器疾患発症の因果関係を突き止めることは難しいことを指摘している。
著者らは「これらの知見は、ストレス障害と診断された患者に対し、早期の介入が必要であることを意味する」とまとめている。
出典は『英国医学雑誌(BMJ)』。 (論文要旨)
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