2019.4.16
, EurekAlert より:
血圧と脳卒中のリスクは、アルコール摂取量の増加に伴って漸進的に上昇していくようだ、という英国オックスフォード大学などからの中国人を対象とした研究報告。1日1-2杯の摂取にも保護効果はみられなかった。
東アジア人集団では、アルコール摂取が非常に不快な紅潮反応を引き起こすアルコール不耐症の一般的遺伝子変異が存在する。彼らは殆ど飲酒しないが、喫煙などの他の生活習慣とは無関係であるため、アルコール摂取の因果的影響を研究するために使うことができるという。
飲酒パターンに強く影響する遺伝的要因は、ランダムに割り当てられ、かつ生涯持続するので、大規模ランダム化臨床試験の遺伝的等価物として、因果関係を推定することができる。これはメンデルランダム化と呼ばれている。
研究チームは、50万人以上の中国人男女に、アルコール摂取を尋ね、その後10年間追跡調査した。彼らのうち16万人以上について、アルコール摂取を実質的に低下させることに関連する2つの遺伝子変異(rs671とrs1229984)を測定した。
男性の場合、これらの遺伝子変異は、平均飲酒量に50倍の差をもたらした。1日の摂取量が、ほとんどゼロに近い人と約4単位の人とである。アルコール摂取量を減らす遺伝子変異は、血圧と脳卒中のリスクの低下にも関連していた。
このエビデンスから、研究チームは、アルコール摂取が1日4単位(週280g)増えるごとに、脳卒中のリスクを35%高め、軽度から中程度の飲酒に保護効果はないと結論付けた。
飲酒する女性は極めて少数であり、アルコール不耐症を起こす遺伝子変異は血圧や脳卒中リスクに殆ど影響を及ぼさなかった。
「ほどほどの飲酒に脳卒中からの保護効果はない。たとえほどほどの飲酒でも脳卒中のリスクを高める。心筋梗塞については、それほどクリアな結果ではなかったので、更なるエビデンスを集めることを計画している」と共同研究者の陳徴明教授はコメントしている。
出典は『ランセット』。 (論文要旨)
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