2019.4.15
, EurekAlert より:
現在、心不全による入院患者の半数近くが、治療オプションのない疾患タイプによるものである。米国テキサス大学南西医療センターの研究チームは、新鮮なアプローチを用いてその状況に変化を与える、と『ネイチャー』誌に発表した。
「心不全には二種類あり、ひとつはHFrEF(駆出率の減少による心不全、収縮不全)と呼ばれ薬物、機器、移植など多くの治療法が存在するが、もうひとつはHFpEF(駆出率が保存されている心不全、拡張不全)と呼ばれゼロオプションである」と主任研究者のジョゼフ・ヒル教授は語っている。「HFpEFは、心臓病学における単一で最大のアンメット・ニーズ(満たされない要求)である。」
HFpEFは、致命的な疾患であり、臨床的に有効な治療法が存在しない。心筋が硬くなり過ぎて効果的に血液を押し出すことができなくなる。大部分のHFpEF患者は、肥満で糖尿病があり、メタボリック症候群がある。
HFpEFの先行モデルでは、NO合成酵素のレベルを上昇させることに焦点が当てられていた。けれども、実際にはNO合成酵素は多過ぎるのである。阻害剤でこの酵素を阻害すれば、問題は解決される。ヒル教授によれば、NO合成酵素の阻害剤はすでにFDAに承認されたものが存在する。
研究チームは、高脂肪食と血圧を高める薬物の組み合わせによる「ツーヒット」モデルによって、疾患にワンツーパンチを浴びせられることを発見したという。
次にチームは彼らのモデルを細胞レベルで検証し、ヒト細胞と比較した。それらはヒトの条件を複製しており、したがって正確な生物学的描像を科学者に提供するものだ。それは新治療の開発に大きく前進する可能性を秘めている。
出典は『ネイチャー』。 (論文要旨)
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