2019.3.29
, BMJ より:
尿中に排泄されたナトリウムとカリウムは摂取量の代替指標として用いられる。尿中ナトリウム排泄量とカリウム排泄量と循環器疾患の発症と全死亡について検討した結果、ナトリウム排泄量が3-5g/日かつカリウムを多く摂取していた場合に、循環器疾患の発症・死亡リスクが最も低かった、というカナダ・マクマスター大学からの研究報告。
近年、世界保健機構(WHO)では、成人のナトリウム摂取量は2.0g未満、カリウム摂取量は3.5g以上を推奨している。
これまでの研究では、ナトリウム摂取量と死亡リスクはJ字型の関連があること、カリウム摂取量は直線型の関連が報告されている。また、これまでの多くの観察研究では、カリウムとナトリウム摂取量と疾患との関連について別々に検討した研究が多かった。
本研究では、世界中の観察研究から、様々な国民所得の国を含めた18研究をもとに検討した。対象者は、空腹時の尿サンプルを採取した10万3,570人であった。
ナトリウムとカリウムの24時間尿中推定排泄量(摂取量の代替指標として用いられる)と全死亡、または循環器疾患の発症との関連を検討した。推定ナトリウム尿中排泄量は、3g/日未満、3-5g/日未満、5g/日以上の3群に分け、カリウムの排泄量は、中央値である2.1g/日以上と未満に分けた。
その結果、WHOの推奨する推定カリウムとナトリウム排泄量を満たした者の割合は、0.002%ととても少なかった。
ナトリウム、カリウム排泄量を組み合わせた場合、ナトリウム摂取量3-5gが最も循環器疾患の発症と死亡リスクが低く、J字型の作用曲線であった。また、ナトリウム排泄量が高い群でも、カリウム排泄量が高いと循環器疾患リスクの上昇は弱くなった。
本研究の結果においても、カリウム摂取量を増やすこと、ナトリウム摂取量が5g/日以上の者は減らすことが支持されており、これらは、健康的な食事パターンでもあると結論づけている。
出典は『英国医学雑誌(BMJ)』。 (論文要旨)
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