2019.3.8
, EurekAlert より:
食べ物の匂いが知覚できない生物は寿命が短縮するかもしれない、という独ケルン大学からの研究報告。
食品の匂いは我々の身体に生理学的プロセスを惹起する。唾液を分泌し消化酵素を活性化する。これらは細胞のプロテオスタシス(たんぱく質のホメオスタシス)によって動的に制御されており、これが加齢プロセスの重要な一部となっている。
今回、研究チームは、線虫モデルを用いて、匂いがプロテオスタシスに及ぼす影響を実証することに成功したという。線虫には358本あるニューロンのうち2本が匂いの知覚に関係する。
研究チームは、腸内の緑の蛍光たんぱく質を用いて匂いが腸の生理機能に及ぼす影響を明らかにした。緑の蛍光が強いほど細胞の老廃物が蓄積していることを意味し、これはリサイクリングによってたんぱく質の分解が高まっている結果である。
これらのプロセスは、匂いのニューロンで生成するマイクロRNAであるmir-71によって媒介されている。このプロセスがブロックされると、細胞のリサイクリングが消失するだけでなく、線虫の寿命も短縮することがわかったという。つまり嗅覚をなくした線虫は早死ということである。
このメカニズムが、匂いの信号を適切に処理して腸管壁に伝えるための中心的な役割を果たしている。「我々は、生命体がこのようにして食品摂取と効率的な分解を連携させていると推測している」と筆頭研究者のファビアン・フィンガー博士はコメントしている。
出典は『ネイチャー代謝』。 (論文要旨)
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