2019.2.22
, EurekAlert より:
ヒトとマウスの両方で、運動後に脂肪細胞に劇的な変化が生じ、この訓練された脂肪細胞は血中にポジティブな健康効果をもつたんぱく質を放出することがわかった、という米国ジョスリン糖尿病センターからの研究報告。
脂肪細胞がアディポカインと呼ばれるたんぱく質を分泌することは良く知られているが、アディポカインは肥満で増加し、代謝と健康に有害な影響を及ぼすことが多い。
「この多くのアディポカインのネガティブな影響とは対照的に、我々の研究は、TGF-β2というアディポカインが運動の結果として脂肪細胞から放出され、耐糖能を改善することを明らかにした」と共同研究者のローリー・グッドイヤー教授は語っている。
TGF-β2は、耐糖能異常を改善するだけでなく、肥満マウスに投与すると血中脂質が低下し、多くの代謝が改善したという。
「単一のたんぱく質がこれほどに重要で劇的な効果を示すというのはまったくもって印象的である」とグッドイヤー教授は語っている。
2年前国際研究チームが、脂肪組織が運動に反応して有益な代謝効果をもたらすことを初めて実証した。
「我々の仮説は、運動が脂肪組織を変えるというものだった。この変化の結果として脂肪細胞は血液中に有益なたんぱく質を放出するのである」とグッドイヤー教授は語っている。「この発見以前には、筋肉のブラス効果に焦点が当てられるのが常だった。」
研究チームは、運動中に脂肪細胞から放出されるアディポカインを特定しようと、ヒトとマウスの両方で一連の実験を行い、運動によって上方制御されるたんぱく質の一つとしてTGF-β2を同定した。
糖尿病マウスを用いた実験で、TGF-β2は、高脂肪食のネガティブな効果を逆転させたという。
もう一つの重要な発見として、運動中に放出される乳酸がプロセスの不可欠な一部として働くことがわかったという。乳酸は運動中に筋肉から放出され、脂肪細胞へと移動して、TGF-β2の放出を惹起する。
「この研究は、我々の運動についての考え方、運動の多くの代謝効果のみかたに革命をもたらすだろう。重要なのは、脂肪細胞が運動において重要な役割を果たしているということだ」とグッドイヤー教授は語っている。
出典は『ネイチャー代謝』。 (論文要旨)
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