2019.2.19
, EurekAlert より:
同じ薬を飲んでも、人によって体調が良くなったり、反対に副作用に苦しんだりすることがあるのはなぜだろうか。その答えの一つは、腸内細菌の組成の違いにあるようだ。米国イェール大学の動物実験による研究報告が米科学誌『サイエンス』に掲載されている。
人間が口から摂取したあらゆるものは、やがて腸内細菌に代謝される。これは飲食物に限らず薬にもいえる。つまり腸内細菌叢は多くの医薬品の代謝に関係しており、薬の効果や副作用における個人差に多大な影響を与えうるということだ。
しかしこれまで、薬物の代謝に対する微生物の関与を識別し、測定することは難しかった。特に、代謝のプロセスとその産生物について、どれが宿主によるものでどれが微生物叢によるものかを化学的に見分けることは困難であった。
本研究でイェール大学のジマーマン氏らの研究チームは、宿主と細菌叢のそれぞれの関与を、計算により予測できる薬物動態モデルを作成した。今回の結果は、患者ごとの腸内細菌叢を考慮することで、治療成功率を向上させるようデザインされた薬の開発に役立つかもしれないという。
また今回の薬物動態モデルを用いた結果、一部の人では薬物代謝の約70%が腸内細菌叢に由来する場合があることも明らかになったとのことだ。
出典は『サイエンス』。 (論文要旨)
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