2019.2.6
, EurekAlert より:
摂食行動と社交意欲の活性化には関係があるが、脳内回路は区別されており、一方の回路が活性化されると他方は阻害されるようだ、という米国スタンフォード大学からの研究報告。
研究チームは、マウスを用いた動物実験で社交性に関与する2ダースに満たない神経細胞を直接刺激して、それが充分に動物の摂食意欲を失わせることを実証した。この発見は、臨床的な意義をもつ可能性があり、特にアノレクシアなどの摂食障害の理解と治療に使えるかもしれないという。
今回の研究は、脳内の別々のけれども密接に絡み合ったニューロンを解きほぐす技術を開発することで成し遂げられたという。『ネイチャー』に発表された。
「我々は社交的な状況が食欲を阻害することがあるのを知っている」と主任研究者のカール・ダイサロス教授は語っている。「一つの例は、社会的階層における異なるレベルの人々の行動だ。王族とのディナーの席で、あなたはスペアリブの皿に思い切り手を延ばしたりはしないはずだ。」
拒食症はもうひとつの例である。「拒食症の患者は、発症の初期に、他人が彼らの摂食を制限することから報酬を得ているという強力な圧力を感じていることを報告することが多い」とダイサロス教授は説明している。
研究チームは、眼窩前頭皮質と呼ばれる脳の一部に焦点を当てた。この領域に存在する摂食ニューロンと社交性ニューロンのクラスタの活性が区別でき、さらに別々に刺激できる技術が開発された。
この技術を用いて実験した結果、容易に食べられる高カロリーの報酬を前に、社交性ニューロンを刺激することで、マウスの摂食行動が減少したことがわかったという。
出典は『ネイチャー』。 (論文要旨)
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