2019.2.5
, EurekAlert より:
猛暑の中で運動をする際の水分補給にカフェイン入り加糖飲料を飲むと腎臓病のリスクとなるおそれがあるという。米国ニューヨーク州立大学バッファロー校の研究。
この研究では健康な成人を対象に、猛暑の中での農作業を想定し、疑似的に室温35度の実験室内で運動をしてもらうこととした。運動の内容は30分間のトレッドミルに続き3種類×各5分間の重量挙げ、計45分間の運動と15分間の同室内での休憩を1セットとし、これを4セット連続で行った。
休憩時間には毎回、水分補給のため市販のカフェイン入りの加糖飲料(※)か水を16オンス(=約470ml)摂取してもらった。
また、4セット全てを終えて実験室を出た後、被験者には休憩時間に飲んだものと同じものを渡して、新たに別の飲み物を飲む前に飲み切ってもらった。その量は1Lまたは運動中に発汗で失われた体重の115%のいずれか多い方とした。
評価指標として被験者の中心部体温、心拍数、血圧、体重、腎臓損傷のマーカーを実験の開始前、直後、24時間後に測定した。なお、全被験者に対し、7日後に同じ運動を再度行ってもらったが、その際には最初の運動の際とは飲み物を入れ替えてもらった。
その結果、飲み物をカフェイン入り加糖飲料とした場合には血中クレアチニン濃度が高いほか糸球体濾過率が低くなること(腎臓障害のマーカーである)が明らかになった。さらに、血圧を上昇させる抗利尿ホルモン・バゾプレシンの濃度がより高く、実験中および実験後に軽度の脱水症状を示した。 水を飲んだ場合にはこれらの一時的変化は起こらなかった。
研究者は「高温下での運動中・運動後の水分補給にカフェイン入り加糖飲料は適さないかもしれません」とし、今後、長期的影響についても検討する必要があるとしている。
※本実験で用いたカフェイン入り加糖飲料は市販のレモン・ライム風味の弱炭酸飲料。表示されている成分含有量はエネルギー480kcal/L、糖質130g/L、ナトリウム170mg/L、カリウム20mg/L、カフェイン154mg/Lとのこと。
出典は『米国生理学会誌−調整・統合・比較生理学』。 (論文要旨)
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