2019.1.30
, EurekAlert より:
穀物のふすまに含まれる天然の抗酸化物質が、食品を長持ちさせ、現在使われている合成抗酸化剤に置き換えられるかもしれない、という米国ペンシルバニア州立大学からの研究報告。
研究チームは、アルキルレゾルシノール(AR)という種類の化合物に着目した。小麦、ライ麦、大麦がそれを生産し、カビや細菌などから穀物を保護する働きがあるのだという。
ライ麦のふすまからARを抽出、精製する技術を開発して、次いで、ARが懸濁されたオメガ-3系脂肪酸に富む油の保存に使えるかどうかを検証した。懸濁液を用いたのは、それがたとえばサラダドレッシングのように油を利用するときにもっとも一般的な使用形態だからだという。
実験の結果、ARは懸濁液中で抗酸化活性を発揮し、抗酸化物質無添加の場合に比べて、オメガ-3系脂肪酸の酸化を防止できたという。
さらに、食品工業で広く使われている2種類の抗酸化物質α-トコフェノールとBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)比べたが、ARはこれらの物質ほどには効果的とはいえなかった。
けれども、実験に用いたAR抽出物は未だ完全に純粋な状態ではなかったし、分子的にも単一種のARではなかった。これらの限界を克服することで、市販品と同等の抗酸化活性が得られるのではないかと研究チームは期待しているという。
出典は『食品化学』。 (論文要旨)
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