2019.1.22
, EurekAlert より:
ビタミンDの欠乏が、ある種の魚における胚の発達を停滞させるようだ、という米国ポートランド州立大学からの研究報告。
一年生メダカの一種であるAustrofundulus limnaeusは、季節性の雨でできた池に生息する。この不確かな環境条件を生き延びるために、この魚は環境的な合図に反応する胚を生み出すように進化した。反応によって調節されるのは、ひとつは胚の成熟度であり、別のひとつは胚が複数の休眠状態をもつことである。これによって胚は酸素や水が無い乾いた泥の中でも数カ月生き延びることができるようになった。
研究チームは、この魚が休眠状態をどのように調節しているのかを知るために、様々な環境条件をシミュレートし、各々段階にある魚のRNAを分析して、それらの発現を誘導する遺伝子を探した。
その結果わかったのは、ビタミンDの合成とシグナル伝達が、この魚の正常な発達を促進するということだった。逆にこの経路を阻害すると魚は正常な発達に望ましい条件下でも休眠状態に入ったという。
研究チームはまた、ビタミンD合成の阻害が、胚の発達を停滞させることのない種であるゼブラフィッシュの胚でも、休眠を誘導できることを発見し、このビタミンが脊椎動物の発達に重要であることを示唆した。
休眠を制御する類似の受容体が、線虫やショウジョウバエにもみられることから、ビタミンD受容体の機能が長い進化の間幅広い種間で保存されされていたことを示していると研究チームはみている。
「これはビタミンDの新しく発見された役割だ」と筆頭研究者のアミー・ロムニー博士は語っている。
出典は『国立科学アカデミー論文集』。 (論文要旨)
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