2019.1.9
, EurekAlert より:
ソーセージ、チーズ、パンやその他の加工食品の製造に使われる微生物由来酵素によって、セリアック病が惹起される可能性があるかもしれない、という独エスクキップ研究所からの研究報告。
セリアック病は、グルテンが引き金となって免疫系が腸を攻撃する自己免疫疾患の一種であるが、なにが原因となっているのかわかっていない。研究チームは、この自己免疫の原因と引き金の両方に一般的な食品添加物が関与していることを、新しいレビューにおいて報告している。
微生物由来の酵素トランスグルタミナーゼは、加工食品において品質改善や保存期間延長の目的で頻繁に使われる。たんぱく質の糊としてグリアジンペプチドを架橋し、免疫原性がありセリアック病の潜在的な原因物質となり得る複合体を作り出す。
配列は異なるものの機能的には同じ作用をもつ内因性の組織トランスグルタミナーゼもまたセリアック病の自己抗原の一つである。
研究チームは本レビューにおいて、この酵素の特徴、由来、グルテンあるいはグリアジンの架橋活性について検討した。セリアック病においてはいくつかの微生物由来のトランスグルタミナーゼが架橋した複合体が抗原性を持つことが観察されており、研究チームはそれらを要約している。
研究チームによれば、過去40年間におけるセリアック病の発症率の増加とベーカリー製品における工業用酵素の使用の増加には正の相関がみられるという。
「結局わかっているのは両者の相関性だけであり、この酵素がセリアック病の免疫障害を起こすかどうかを検証するには、動物モデルや培養細胞株、生検などによる実験が必要である」と共同研究者のアーロン・ラーナー客員教授はコメントしている。
「より明確な回答が得られるまで、微生物由来のトランスグルタミナーゼの使用の表示を義務付け、警戒することが必要であろう。」
出典は『小児科学の最前線』。 (論文要旨)
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