2018.12.17
, EurekAlert より:
加工食品はうつ病リスクを高めるが、魚は下げる? 豪州トレス海峡諸島において、ファストフード店のある島に住む人と無い島に住む人では、血中脂肪酸の組成が大きく異なるほか、それに比例するようにうつ病患者の割合にも差があることが明らかに。豪州ジェームズ・クック大学による研究。
この一風変わった研究では、トレス海峡諸島にあるファストフードのあるワイベン島、無いマレー島での調査の結果、魚と加工食品の摂取量とうつ病に関連があることがわかったという。
筆頭著者のベルガ―博士らのチームは2つの島で、各100人あまりを対象としたインタビューを行い、食生活やうつ病レベルのスクリーニングをしたほか、血液サンプルを採取した。予想通り、ファストフードのないマレー島の住人の方が、有意に魚介類の摂取量が多く、テイクアウト食品は少なかった。
全被験者の中で19人は中〜重度の抑うつ症状が確認されたが、そのうち16人はファストフードのあるワイベン島の住人で、無いマレー島の住人ではわずか3人だった。「重度の抑うつ症状のある人は若く、かつテイクアウト食品の摂取量が多かったのです」とベルガ―博士。
血液サンプルを分析したところ、2島の住人には脂肪酸のレベルに差異のあることがわかった。
博士は「うつ病との関連があるとされる脂肪酸は多くのテイクアウト食品にたくさん含まれており、ファストフードのある島の住人の血中にも多くみられました。うつ病の予防効果があるとされる脂肪酸は魚介類に豊富に含まれ、もう一方の島の住人において血中濃度が高かったのです」
「現代の西様式食では、うつ病に関連するn-6系脂肪酸に対し、うつ病の予防効果を持つn-3系脂肪酸の摂取量が相対的に少ないことに気を留めることが大事です。伝統的な食生活の国では、n-6系とn-3系の比率が1:1であるのに対し、先進国では20:1にもなるのです」と話している。
とはいえ、うつ病は複雑であり、社会・環境因子にも影響を受ける。ただ、今回の結果は魚介類に含まれるn-3系脂肪酸を豊富に摂取し、テイクアウト食品に多いn-6系脂肪酸を控えめにすることが有益な場合があることを示唆しているとのこと。
出典は『栄養神経科学』。 (論文要旨)
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